若いママたちへ
  放射能汚染を避けるためにに知ってもらいたいこと
        山本朝子

目次

1. 放射能汚染は自然摂理の破壊を生む
  でも、怖いのは放射能汚染だけ?

2. 長崎原発での経験「秋月医師の偉業」
  伝統食の秀逸さ

3. 放射能汚染の恐怖
  低年齢者の被爆と内部被爆

4. ヨウ素剤の効果

5. 細胞コンデンサー理論の発展的利用

6. ホメオスタシスの阻害

1. 放射能汚染は自然摂理の破壊を生む
でも、怖いのは放射能汚染だけ?

放射能汚染に関しては、徹底した安全性を求める人が多いようです。求める余りに「風評被害」まで出てきます。政府が繰り返し「直ちに健康に影響がある数字ではありません」と発表そればするほど「ということは、しばらくすれば健康に被害が出る可能性のある数字でもある」と危機感を強めます。

他方で、農薬や添加物は、政府の定めた基準値以内なら大丈夫と受け入れる人が大半です。故有吉佐和子さんが、「複合汚染」で、化学物質は相乗効果で毒性が想定外に強まることがあると、警鐘を鳴らされたことなどは忘却の彼方です。しかし、放射性物質同様、農薬や添加物も、微量ではあれば人体への悪影響を免れる事が出来る可能性が高い、直ちに健康を害することはない、というだけです。しかし、私達が1日に体に取り入れる添加物の量は60種類で10g1年総計3,6k程になるといわれていますから、「微量であれば」などという甘い希望は持たない方がよいでしょう。それぞれには微量であるはずのこれらが大挙集合し、生命の基本的単位である細胞のDNAやRNAを攻撃し、染色体を破壊し、遺伝子情報の仕組みを傷つけるのです。細胞が正しく再生されなくなるという点では、放射性物質の恐ろしさと同じではないでしょうか?

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2. 長崎原発での経験「秋月医師の偉業」 伝統食の秀逸さ

さて、放射能汚染を免れる事ができた良き先例があるとして、秋月辰一郎先生のご著書「死の同心円…長崎被爆医師の記録」が評判になっています。「爆弾(原爆)をうけた人には塩がいい。玄米飯にうんと塩をつけてにぎるんだ。塩からい味噌汁をつくって毎日食べさせろ。そして、甘いものを避けろ。砂糖は絶対にいかんぞ」玄米とミネラルたっぷりの海洋塩、わかめやかぼちゃの味噌汁で発酵食品とをたくさん摂る、砂糖はなしという食指導が、長崎原爆の投下の折、爆心地1.8km内で70名の患者と医療スタッフの原爆症を回避させたということです。よく考えると、この食事は、昔々の日本では別段特別なものではなく「庶民の食事=伝統食」そのものです。1977年に、アメリカ上院議会において、最高の健康食として絶賛され(マクガバンレポート)世界保健機関WHOでも高く評価され続けているのが、この日本の伝統食です。チェルノブイリ原発事故の時には日本の味噌が飛ぶように売れたことを知る人は少ないかも知れません。

草食系、肉食系、昨今こういう言葉が流行中ですが、伝統食は、いわば、穀物系。米と豆を中心に伝統的発酵食品がサポートする文化伝承の賜です。食べれば元気なると、長生きできると、病気になりにくいと、ヒトからヒトへ、先祖から子孫へと受け継がれてきた伝統食の体系が、放射能の悪影響すら回避してしまうというのです。今さらながら生命の源は食べものから作られると再認識させられます。

放射能に関する数値を良く把握し、まずは、汚染された食べ物を避けるのは大切です。しかし、否が応でも放射性物質に日常を脅かされる現状では、たとえ汚染に曝されたとしても、被害を最小限に抑える事が出来るような強靱な体質作りをする術を知ることも負けず劣らず重要です。強靱な体質があれば、免疫力は強化され、生き生きと活力を持って変わらず健康に生きられる。インフルエンザなどのウイルス性の病気や、原因のわからない難病に罹病することも免れる事が出来るように、放射能の害からすら、運良く健康と命を守れるかもしれないと言うことなのです。

また、秋月博士は、放射線宿酔には体験上、生理食塩水より少し多めの塩分を含んだ水を飲むとよいということをとっさに思い出し、原爆の放射能から体をガードするには、塩が有効であることを推理したということです。そして、わかめの味噌汁を多く摂らせたということですから、奇しくも、甲状腺を安定同位体ヨウ素で飽和状態にし、放射性ヨウ素(不安定同位体ヨウ素131)を寄せ付けないようにするという処方をも画しておられたということになります。砂糖を禁じたのは、砂糖は造血細胞に対する毒素であり、塩のナトリウムイオンは造血細胞に活力を与えるという、彼自身の食養医学に基づくものであるということです。

ある食べものの中にある成分があたかも「薬」のように働き、特定の害毒を除去するという考え方をするのではなく、ヒトの生理機能に適合する正しい栄養素を摂り込むという基本が守られていて、生体に阻害を与える物質辛みを守ることが出来たという至極シンプルな形であるということが出来ます。

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3. 放射能汚染の恐怖 低年齢者の被爆と内部被爆

しかし、秋月医師の処方の成功例に倣うとしても、考慮に入れるべきなのはそのとき原爆症を免れた人たちの年齢です。放射能汚染の影響は、50歳以上の人と、細胞分裂の激しい時期である若い人とは明らかに違います。胎児と妊婦や赤ちゃん、幼児や小学生、中学生と言うように、若い順に汚染を避ける事を最優先にするべきです。放射能被爆の怖さは遺伝子が傷つけられることです。新陳代謝をする細胞が再生不能になる事の恐ろしさは、1999年東海村でJOCが起こした臨界事故でなくなった作業者の大内さんと篠原さんにおこった原爆症の進行の記録を見れば明らかです(朽ちていった命 被爆治療83日の記録 NHK取材班による)。放射能汚染の実態を、最初からという致死量(6〜7シーベルト)以上の中性子線を浴びた彼ら(大内さん推定16〜20シーベルト以上=16-20グレイ・イクイバレント、篠原さん推定6~10シーベルト=6.0-10グレイニクイバラント)と同じように論じるわけにはいきませんが、染色体が完全に破壊された後、細胞が再生されなくなるということがどういうことなのか、十二分にご理解頂けるものと考えます。体内の細胞分裂が盛んな分だけ遺伝子損傷の悪影響を受けやすいのですから、特に子どもさんに関しては、安易な安全基準値の引き上げに妥協を許してはいけません。亡くなった大内さんの脳、神経細胞、心臓は最期まで健全でした、なぜならこの様な臓器は細胞が入れ替わらないので、他の身体細胞が再生を中止しても機能的には何の不具合もないのです。明晰な頭脳と感覚を持ちながら再生されない身体が朽ちていくのを待たねばならない、放射線のしわざの、なんとおそろしいことでしょう。

ただ、放射線を外部から受けることでの身体の被害(外部被爆)比べると、放射性物質を吸い込むまたは食べる事によって身体の中に取り込んでしまう(内部被爆)とでは、その恐ろしさは比較にならないほどです。特に通過性の低いα線やβ線は取り込まれた部位にとどまって威力を出し続けますし、線量は線源までの距離の2乗に反比例するのですから、どれだけ微量の放射性物質であってもそこから放たれる放射線の影響は増幅されるのです。福島原発事故では、JOC事故ほどの外部被爆を受けて確定的健康被害を被る人は皆無でしょうが、内部被爆によって確率の高い健康被害を受ける人は沢山出てくると思われます。

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4. ヨウ素剤の効果

前述の放射性ヨウ素の害を免れるために、安定同位体ヨウ素剤を飲むという処方に関してもう少し詳しく検証しておきましょう。チェルノブイリ原発事故以来、放射能汚染が起きた場合、放射性でないヨウ素の大量摂取により、あらかじめ甲状腺をヨウ素で飽和させる防護策が必要であるとして、日本は国民保護法に基づく国民の保護に関する基本指針により、核攻撃等の武力攻撃が発生した場合に武力攻撃事態等対策本部長又は都道府県知事が、安定ヨウ素剤を服用する時期を指示することになっています。

この国際的に求められている豪語策の仕組みは、『細胞は一種のコンデンサーのようなもので、もうこれ以上は入れない状態になっていれば、そこに放射性物質が入ってきてもそのまま流れていってしまう』という摂理を利用しています。予め安定同位体のヨウ素127を体に取り込んでおけば、特にヨウ素が集合する甲状腺はヨウ素で飽和状態となります。つまり、必要分のヨウ素の上限が既にクリアーされていて、そこに、放射能汚染によって、不安定同位体の放射性ヨウ素131がやってきても細胞は、「もう満杯だよ」とスルーしてしまうというのです。わたしたちの体は、自分で自分の体の規律を守る力がある、もう少し専門的な表現をすると、生体恒常性、ホメオスタシスという力強いシステムによって守られているのです。

ただし、ヨウ素は成人には副作用がありますからご注意下さい。未成年、子どもにはたいへん有効であるヨウ素剤ですが、成人のヨウ素剤服用による大量摂取はお勧めできません。それよりも、昆布(とろろ、酢昆布など)を1日50グラム目安に食べ、被害が収まってきたら徐々に減らす(食べすぎに注意)というおだやかな摂取がお勧めです。

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5. 細胞コンデンサー理論の発展的利用

さて、このコンデンサー理論を、放射能汚染によって曝露される他の放射性物質、セシウム137,ストロンチウム90,プルトニウム239などの体内除去に利用できないか、同じように、「もう満杯だよ」とスルーすることができないか?少し希望がもてはしないか?と考える人もいるようです。

ただ、これらの放射性物質はヨウ素のように安全な方の同位体を服用利用する、もしくは食材として食べるなどが不可能などの理由で、効果の実証された防護策としてWHO等でとりあえ認められてはいません。放射性ヨウ素以外の放射性物質への対応策はいまのところ、セシウムなどを腸内で吸着して体外に排出するセシウム除去剤(ラディオガルダーゼカプセル)などがその効能を一応認められているにとどまっているようです。福島原発事故の対応措置として緊急輸入されたそうですが、効能の不安もあるでしょうし、高価であり、十分に供給量もないといわれています。

さて、コンデンサー理論に戻りましょう。ヨウ素のように安定同位体を防護用に摂取することはできないとしても、セシウムとカリウム、ナトリウム、ストロンチウムとカルシウムがそれぞれ同じ「族」に属していて、水溶液中の価電子数が一致する(よく似た電子配置である)と言うことから、また次のような研究報告が成されています。

『セシウム汚染土壌においては、アンモニア系肥料(硫安,塩安、硝安)が、植物体へのセシウム吸収を3−5倍に促進すること。カリウム系の肥料(塩化カリ、硫酸かり)が植物体へのセシウム吸収を26−41%に抑制する。天正清・葉可霖・三井進午 土肥誌32巻4号139−144(1961)という論文より』

『ストロンチウムはカルシウムと電子配置が同じ事から天然の天青石やストロンチアン石などの鉱物の中にはいることがある。』

『放射性ストロンチウム90は体内に入ると電子配置・半径が似ているため、骨の中のカルシウムと置き換わる。半減期が28.8年と長いので体内に蓄積し長期間に亘って放射線(β線)を出し続ける。しかし、別の放射性ストロンチウム89は半減期が50日ほどと短いために骨腫瘍の治療(ガン細胞を破壊する)に用いられる。』

この様なレポートから、価電子数が同じであるカリウム、ナトリウムとセシウムが、カルシウムとストロンチウムが、プルトニウムはコバルトと拮抗的であり、それぞれのペアーのミネラルをしっかり摂取すれば、放射性物質の方の吸収を阻害できたり、排出を促進できたりするという回避方法が紹介されるのです。

生体内での細胞膜通過に関して,それぞれのペアの振るまいがよく似ているので、お互いのペアーが拮抗的に作用し、放射性物質の阻害を免れることができるという説明が成されています。

つまり、一価の原子であるカリウムやナトリウムをしっかり摂取しておくと、同じく1価の原子放射性セシウム137が入ってきても細胞の中は一杯であるとスルーできる、もしくは入り込んだセシウムを取り替えるようにして追い出すことが出来る(それぞれのペアーが拮抗的であるという表現を持ちいることがある)というのです。2価のカルシウムとは同じく2価のストロンチウムと、という具合です。

一般的に、細胞レベルでのミネラルの取り込みは、生体膜状に存在するイオンチャンネル・イオンポンプという膜貫通タンパクを介して行われています。細胞内ミネラルは,細胞が濃度勾配に逆らって細胞外から取り込むことによって細胞の活性を維持しているミネラルで,K,Mg,P,Zn,Feなどがこれにあたります。逆に,細胞外液の濃度が細胞内より高いミネラルを「細胞外ミネラル」と定義し、細胞外ミネラルは,細胞が濃度勾配に逆らって細胞外に排除することによって,細胞の活性を維持しているミネラルであり,Na,CI,Caなどがこれにあたります。ミネラル類はこのチャンネルやポンプの役割によって細胞内外を出入りします。生体は細胞の膜電位を維持・変化させて、水に溶けて電荷を帯びてやってくるミネラルの出入りを可能にしているのです。このとき、電荷が同じであるミネラル類はお互いに化学的な特質がにているということになり、イオンチャンネル・ポンプの開閉に関して同じふるまいを受けます。

カリウムKは1価の原子で+1の正イオンとなり、セシウムCsも1価の原子で+1の正イオンとなります。カルシウムCaは2価の原子で+2の正イオンになり、同じくストロンチウムSrは2価の原子で+2の正イオンになります。つまり、それぞれのペアーは化学的性質は同じという事ができるのです。因みにヨウ素は塩素と同様にマイナス1の負イオンになり、コバルトとプルトウムが同じ族に入ります。元素周期表をみると良く理解できます。

拮抗作用とは、ある現象に対して、二つの要因が互いにその効果を打ち消し合うように働く作用で、たとえば、交感神経と副交感神経、アドレナリンとインシュリンなどが拮抗作用をもう関係を指します。これ以上入れない状態になっていれば、そこに放射性物質が飛び込んで来てもそのまま流れてしまうようなものだといえるのです。

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6. ホメオスタシスの阻害

伝統食の食養生にしても、ヨウ素剤服用の飽和作戦やコンデンサー理論にしても、結局は、「ヒトの生理機能が活き活きと働くという状況下であってこそ、生体恒常性が保たれる。一貫した命の営みの中で、放射能汚染からさえ身を守る術がある。」と希望が繋がっていくわけなのです。

からだを作るのは食べもの、人類最大の危機とも言える原発事故の前で、頭脳を明晰に保ち、するべきこと、できることを粛々と行いたいものです。

もちろん、放射能に曝されない、体に取り込まない、残存させないよう努力をすることを第一に行うことを忘れずに。しかしみなさん、放射能汚染のみに眼を釘付けにする余り、忍び寄るその他の不自然な化学物質の蹂躙を万が一にも見逃すことのないように。レイチェルカーソン女史が50年以上前に警告した、いのちのない世界が沈黙の春を迎えることがないように。

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