その日、アトリエの生徒さん達が自宅アトリエを訪間することになっていました。
ケーキを2個、ピラフやスパゲッティ、手作リパン、グリーンサラダ、温野菜サラダ等々・・沢山用意して私はルンルンで待っていました。たまたまその日は振り替え休日になっている小学生の子供さんも一緒に来る事になったと、そんな連絡も受けていました。なつきちゃんは・・・ご馳走の前で暗い顔でした・・・・ママが言っています。 "きれいヤロー・・・ケーキは食べられないって約束してきたよね・・・・"私はあわてて答えました、"今日のパンにはたまごは入ってないからね"そう・・なつきちゃんはその家族で一人だけ玉子アレルギー・・・・・。 ケーキ以外は全部食べられるよ・・・ママは・・・なつきちゃんに言っています。

!!!そのとき・ひらめいたのでした!!!わらびもち! !我が家ではわらびもちを鍋底に作ります。丸い鍋底のままに・・・。私は・・沢出来てくれた生徒達を、"リースいっぱいあるから勝手に見ててね。どの部屋に入っても良いから"、と放り出しました。 急ぎ・・・台所に立ち・・・わらびもちの粉をおもむろに開き破って出して・・・・。ものの15分もかからないうちに。わらびもちは丸くケーキのように仕上がったのでした。 お砂糖も何も入らない、純粋なただの"わらびもちの塊・・・" 白いお皿の上で、それはきらきらと輝いていました。わらびもちに、こんな出番があったでしょうか。世界中で一番幸せなわらびもちでしょう。それに黒蜜(もちろん手作りの無添加)を回しかけ、金の粉のようなきな粉を、またまたその上から振るかけました。ケーキに使った苺の残りをぐるりにさっさっと並べて・・・・じゃ〜ん・・・完成!

大きく息を吸い込んで、私は大声で呼びました。・・(ママの後ろ手をつかんでは悲しそうな)"なつきちゃん!!!!これはなつきちゃんのデコレーションケーキよ!!"丸い・・・ケーキ・・・ケーキそっくりなわらびもちをみた彼女の顔!!!さっと・・・バラ色の笑顔に染まったのでした。"なつきの!!!!ケーキなの!!??"直径18cmのそれは、ほとんど、全部彼女の胃袋に収まり、少しの残りを自分の手で、"他の子供達"に分けてやってる彼女の顔は本当にお姫様のように誇らしげでありました。

アトピーを持つ子供にとって・・何よりも人が食べているおいしそうなものを食べられないという気持ちは一番のストレスです。また、ママにとっても。その日から・・・同じ物をつくってあげたい。世に出ている食べられないものとされる物を彼女にとって食べられるもの形で提供してあげたいと切に願ってきました。玉子の化身のようなケーキ達・・・カスタードクリーム・・・シュークリーム・・・それら総てを玉子なしで・・素敵な・・・美しい食べ物として作り出したい!こんな気持ちが生まれたのでした。私の偽物???作りが始まったのでした。その気持ちはあれから3年目にして、ようやく一つの形としてここにあります。その3年という過程ので・・私は・・・玉子だけでなく色々な食品を取ることの出来ないケースがあって・・それを支えている並々ならぬママ達の努力・・・を知りました・・・そして、そのどんな条件においても食の提案をしていけたらと思うようになりました。除去するという考え方でなく・・食べられるものの中で・・・新しい物を作り出す楽しみを、そう考えて下さったら・・・と。共に戦うママと子供の絆はそれを通してすばらしい物に育っていくでしょう。

想像力・・・そこにないものを作り出す、または考え出す力・・。それさえあれば生き生きと幸せな時間が、どこにでも与えられるのです。このカリキュラムが・・・一人でも多くの子供とそして共に戦うママ達に届き・・バラ色の"なつきちゃんの笑顔があちこちにこばれ出す事を願って止みません。

申し遅れましたが・・・アトリエ・グリーンゲイブルズは、生活の様々な分野についての提案を発信していく活動をしております。その名前は、私の少女時代からの愛読書"赤毛のアン"のオリジナルタイトル(Anne of Green Gables)から取りました。住みにくい現代社会にあって、季節感を大切しながら自然と共に、生き生きと幸せな人生を生きていくために・・"想像力"の力を借りて、そこにない物を作りだし、失われた物を取り戻したいと願っております。物語の中で・・・孤児というハンディを背負ったアンは、愛情を勝ち取り、すばらしい女性として成長行きます。どんな困難に対峙したときも、それを克服させてくれるのは、自分自身で考え・・。そこにない物を自らが"想像できる能力"ではないでしょうか・・・。そして、それを具現化する"創造力"が備われば、私たちのまわりは新しい生き方であふれ出すでしょう。

最後に・・・カリキュラムの中のレシピについて、我が師であり、関西で広く活躍されておられる料理研究家田邊哲子氏の多大なる協力を得ていること、そして、これからの講習の運営にその中心となって共に参加して下さることを、この場で深く感謝すると共に、このカリキュラムがより大きな安心感と信頼を得るものとなったことの由縁を言及するものです。

*アトピーの子供達のための お姫様と王子様のお菓子12ヶ月*
カリキュラムを立ち上げるに当たって